T200 と T500 は、どちらも Blue Robotics の水中スラスターです。水上ドローン(USV)や ROV を組むとき、まず決まらないと先へ進めないのが「どれだけ押せるか」と「バッテリー1本で何基まわせるか」の2つです。
このページは、その2つをメーカーの公表値だけで表にしたものです。数値はすべて Blue Robotics の製品ページ(2026年9月時点)から取っています。
このページで分かること
- T200・T500 が電圧ごとにどれだけの推力を出すか
- そのときどれだけ電流を使うか
- 純正バッテリー1本で何基まで全開にできるか
- 使うときにメーカーが決めている時間の制限
1. どれだけ押せるか(推力)
スラスターの力は「推力」で表し、単位は kgf です。1 kgf は、およそ 1 kg のものを持ち上げる力にあたります。推力は電圧で変わるので、電圧ごとに載せます。
| スラスター | 電圧 | 前進の推力 | 後進の推力 |
|---|---|---|---|
| T200 動作 7〜20V |
12 V | 3.71 kgf | 2.92 kgf |
| 16 V | 5.25 kgf | 4.10 kgf | |
| 20 V | 6.70 kgf | 5.05 kgf | |
| T500 動作 7〜24V |
12 V | 6.00 kgf | 4.00 kgf |
| 16 V | 9.30 kgf | 6.20 kgf | |
| 20 V | 13.00 kgf | 8.50 kgf | |
| 24 V | 16.10 kgf | 10.50 kgf |
同じ電圧で比べると、T500 は T200 の 1.6〜1.9 倍です(12V で 1.6 倍、16V で 1.8 倍、20V で 1.9 倍)。T500 を 24V で使えば、T200 を 16V で使うときの約 3 倍になります。推力は電圧で大きく変わるので、「T500 は T200 の何倍」と言うときは電圧をそろえて比べてください。
後進が前進より小さいのは、プロペラの形によるものです。前後に同じ力が要る用途では、後進の値で設計します。
2. どれだけ電流を使うか
バッテリーが何基まわせるかは、電力(W)ではなく電流(A)で考えるのがいちばん確実です。バッテリーの定格も、スラスターの消費も、同じ配線を流れるアンペアだからです。
| スラスター | 電圧 | 全開時の電流 | 全開時の消費電力 |
|---|---|---|---|
| T200 | 12 V | 17.0 A | 205 W |
| 16 V | 24.0 A | 390 W | |
| 20 V | 32.0 A | 645 W | |
| T500 | 12 V | 16.9 A | 202 W |
| 16 V | 25.1 A | 402 W | |
| 20 V | 34.0 A | 681 W | |
| 24 V | 43.5 A | 1,044 W |
3. バッテリー1本で何基まで全開にできるか
純正バッテリーには「連続で流してよい電流」と「10秒までなら流してよい電流」が決められています。これをスラスター1基の電流で割ると、何基まで全開にできるかが出ます。
バッテリーの電圧の範囲に合う行だけを使います。4セル(14.8V)のパックは満充電 16.8V から 12V 台まで下がりながら動くので 12V と 16V の行を、6セル(22.2V)のパックは満充電 25.2V から 18V までなので 20V と 24V の行を使います。放電を止める電圧は機種で違い、18Ah は 12.0V、10Ah は 13.2V、28Ah は 18.0V です。
| バッテリー | スラスター | 電圧 | 連続で全開にできる数 | 10秒までなら |
|---|---|---|---|---|
| 18Ah(14.8V) 連続 60A / 瞬時 132A |
T200 | 12 V | 3 基 | 7 基 |
| 16 V | 2 基 | 5 基 | ||
| 10Ah(14.8V) 連続 90A / 瞬時 120A |
T200 | 12 V | 5 基 | 7 基 |
| 16 V | 3 基 | 5 基 | ||
| 28Ah(22.2V) 連続 110A / 瞬時 240A |
T500 | 20 V | 3 基 | 7 基 |
| 24 V | 2 基 | 5 基 |
数は切り捨てです。たとえば 18Ah で T200 を 16V で使うと 60 ÷ 24 = 2.5 なので、全開のまま連続で回せるのは 2 基です。
これは「全部を同時に全開にしたら」の数字です。実際の操縦では全基が同時に全開になることはほとんどありません。BlueROV2 は T200 を6基積んでいますが、18Ah のバッテリー1本で運用できているのはそのためです。
ご注意
- 28Ah(Mega Battery)は、同梱の XT90S アダプタを介す場合、連続電流が 90A までに制限されます。その場合 24V の T500 は 2 基までです。またこのバッテリーは BlueROV2 には使えません。
- 連続の定格は、バッテリーを 60℃以下に保てることが前提です。風の通らない密閉空間では下げる必要があります。メーカーは BlueROV2 での全開バーストを1回 30 秒以内にすることを勧めています。
- 速度コントローラー(ESC)にも定格があります。BlueROV2 の Basic 30A ESC では、T200 を 20V(32A)で使うと ESC の定格を超えます。
4. 馬力に換算すると
「何馬力か」を知りたい場合のために、電気の入力を換算した値も載せます。1馬力は 745.7 W です。
| バッテリー | 連続で取り出せる電力 | 馬力に換算すると |
|---|---|---|
| 18Ah(14.8V・連続60A) | 888 W | 1.19 hp |
| 10Ah(14.8V・連続90A) | 1,332 W | 1.79 hp |
| 28Ah(22.2V・連続110A) | 2,442 W | 3.27 hp |
この馬力の読み方
この値はバッテリーから取り出せる電気の入力を、損失ゼロと仮定して馬力に換算したものです。エンジンの出力馬力とは意味が違います。実際にはモーターでの損失、プロペラでの損失があるため、水を押す力はこれより小さくなります。どれだけ押せるかは、1章の推力(kgf)で見てください。
5. 使うときの制限
メーカーが時間や温度の条件を決めているものがあります。表の数値だけを見て設計すると外れるので、あわせて確認してください。
| 対象 | 制限 |
|---|---|
| T500 を 24V で使うとき | 全開の連続使用は1分以内。満充電の6Sバッテリーで使う場合も同じです。24V 全開の規定水温は 2〜27℃です |
| 水から出して回すとき | 乾いた状態では10秒を超えて回さない。軸受けは水で潤滑されるため、乾いたまま回し続けると傷みます。乾いた状態でのカチカチ音は異常ではありません |
| バッテリーの連続定格 | 60℃以下に保てることが前提。密閉した筒の中では下げる必要があります |
| 個体差 | T500 の推力と電気の値は代表値で、個体ごとに約±5% の幅があります(Basic ESC 500 使用時の値) |
数値の出典
このページの数値は、Blue Robotics の製品ページ(T200/T500/リチウムイオンバッテリー各種/BlueROV2)から 2026年9月12日に取得したものです。メーカーが仕様を改定した場合、値が変わることがあります。導入をご検討の際は、お見積りの際に最新の値をご確認ください。
構成のご相談、スラスターの増設や電源の設計については、製品開発・改造でも承っています。スラスターの取り付けや整備の手順はT200・T500スラスターの操作と整備ガイドに、2機種の違いはT500とT200スラスターの違いを比較にまとめています。
この記事に関連する部品
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