水中ドローン「BlueROV2」の実証実験。宮城県総合運動場「グランディ・21」

グランディ・21

宮城郡利府町にある宮城県総合運動場「グランディ・21」のプールを貸し切り、水中ドローン「BlueROV2」を使って幾つかの実証実験、水中点検用での機体調整やデモ潜行を行いました。

合わせて水中ドローンの運用者向けの講習も行い、運用の手順やセットアップ方法など、BlueROV2への知識と技術を身につけていただきました。

受講者の中には、空撮用ドローンの経験者も…。

操作方法は同じということから動かすこと自体は何ら問題はありませんでしたが、水中を潜行させる難しさと面白さを経験して頂きました。

使ったのは仕様の異なる2機のBlueROV2

今回、実証実験に仕様したのは、標準タイプと、グリッパー水中GPSを装備させたヘビータイプです。

BlueROV2

BlueROV2 ヘビー

実証実験その1「ヘビータイプの動作確認と水中撮影」

スラスタガードを装着させたヘビータイプのBlueROV2が、どのような動きをするのかという検証です。

同時に水中撮影を試みました。

BlueROV2 ヘビー

自由自在!6方向に潜行するBlueROV2

スラスタガードは、4つのスラスタを垂直に取り付けることができるパーツ。

これによりロール(左右に回転)およびピッチ(前後に回転)の動きが加わり、6方向自由自在な動きが可能となります。

結果はご覧の通り。
ロールピッチともにクルクルとした動きをみせるROV2の姿が確認できました。

テザーが機体に絡みつく場面もありましたが、反対方向に回転させることにより、その問題も解決できています。

ここで講習者にも操縦を…。

慣れぬ機体の操作に戸惑いながらも、BlueROV2がどのように動くのかを体感していただきました。

ヘビータイプのBlueROV2が活躍する場面とは?

ヘビータイプにアップグレードすることで、斜め前に傾けた状態で前進することも可能になります。

カメラも斜め下を撮影できるので、例えば海底を探査する際に、この動きが役立つのではないでしょうか?

また、長いテザーケーブルを付けた場合や測定機器などを搭載した機体などではより安定して運用ができます。

仕様書

パラメーター
総ROV重量(バラストを含む空気中)11.5kg

ペイロードヘビータイプ

実証実験その2「グリッパーの動作確認」

今回は、ヘビータイプのBlueROV2にグリッパーも装着させてみました。
これは、BlueROV2の性能をさらに発揮させるオプションパーツです。

グリッパーの力を試してみました

まずは事務所にてグリッパーがどのくらいグリップ力があるのかと、ペットボトルで試してみました。

グリッパーのサイズ

ペットボトルがへこむほどの力があることが分かります。

このあとにグリッパーの先端部分にボトルの蓋のみを挟んで実験してみると、蓋が屁へし曲がるほどの力があることも確認できました。

グリッパーはどんな場面で使えるか?

現在販売されている水中ドローンの殆どが、撮影に特化した製品です。

BlueROV2は、撮影はもちろんのこと、グリッパーを装着させることにより「掴む」という動作が可能となります。

用途としては水中に沈んだ物体を掴んだり、小さなものを水中に運んだりすることはもちろんんですが、ロープなどを水中に持っていき物体に絡ませたりできます。

水中点検用の機体調整について

水中ドローンを使った点検業務においては、魚のようにスイスイ移動する動きはそれほど必要ありません。

逆に点検の場合はじっと同じ場所に留まったり、ゆっくり横移動をしたり地味な動きがほとんどです。

通常、プールやタンク内など流れの無い場所では、出力を25%にして運用すればゆっくりな動きになります。

ただし、海で使う場合は海流がありますので、ある程度のパワーを使い操縦する必要があり、主にゲイン50%~75%を使い分けて運用しています。

今回の調整では、出力を強めにしたときにラダーの動きが滑らかになるような調整をおこないました。

機体調整パラメーター

運用手順&セットアップ講習会を終えて

約3時間に渡った実証実験および講習会。

日頃はモニターを通してみるBlueROV2ですが、目視確認を含めて実験できたことは、プールという環境の良い場所で行った醍醐味でした。

BlueROV2を使用した実技

操作方法は、弊社で行っている空撮用ドローン講習と同じように、モード1に設定しました。

セットアップ方法を教えることからスタートして、BlueROV2を水中に潜らせて、上下左右そして旋回と、基本動作を学んでいただきました。

水中ドローンでは、目視確認はありません。

基本はROV2から送られてくる映像データをモニターで確認しながら操作します。

操作しているBlueROV2が直接見られないことへの難しさはあるものの、自分が潜水しているかのような面白味があるという声をいただきました。

環境の良い場所で実証実験を重ねる意味

水中は、決してプールのように環境の良いものではありません。

潮の流れや水中の浮遊物など、大きな危険をはらんでいます。

熟練したダイバーでも、圧力差により潜れる水深には限界があり、その限界まで到達するまでにも大きなリスクと負担を伴います。

水中ドローンができることはなにか?

さまざまな場面を想定しながら落ち着いて操縦できたのは、プールで実施したからだと思います。

これまでも実証実験を重ねていく経過で、ダイバーのリスクヘッジになることは間違いないと確信していますが、今回もそれを再確認できました。

これからの課題について

空撮用ドローンは多くの人々に認知され、産業への応用や人命救助など、その活躍を期待されています。

また個人ユーザーが趣味としても使える時代になったのはいうまでもありません。

その一方で水中ドローンは、まだまだ知られていない水中無人機です。

どのような場面で使えるのか?水深何mまで潜れるのか?さまざまな疑問があるかと思いますが、空撮用ドローンと同じ道を辿るでしょう。

悪環境において使う場面が多々ある水中ドローン

どんな場面で、どの個所が、そしてどの位の損傷が…等、どのような状況下でも対応できる技術―――。

水中ドローンを扱ううえで知ることは、メンテナンスを手掛けている弊社の課題です。

細部に渡って知るために、これからも実証実験を積み重ねていこうと思います。

またBlueROV2は、産業用に使われる水中ドローンの中では、低価格な上にカスタマイズ性の高い機体。

それを誕生させたBlue Robotics社は、BlueROV2の更なる進化のため、拡張性あるパーツを研究開発しています。

そのカスタマイズ性を如何に活かすことができるか?が、弊社にとって永遠の課題なのかもしれません。

名 称:宮城県総合運動場「グランディ・21」
所在地:〒981-0122 宮城県宮城郡利府町菅谷館40-1
電 話:022-356-1122

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