テザーが水中で沈むと ROV を引き下げ、操縦性と推力効率を損ないます。逆に浮きすぎると水面で抵抗になります。フロートを適切な数・間隔で取り付け、中性浮力に近づけることが安定運用の鍵です。
このツールは、テザーの長さ・外径・空中重量・水種と、使用するフロートの純浮力から、水中総重量・必要フロート数・等間隔配置を算出します。Fathom 各種テザー/フロートのプリセットにも対応しています。
テザー仕様
使用するフロート
※ 円柱断面で排水量を近似し、フロート自重は公称の純浮力に含めた前提です。実ケーブルは撚り・外皮・内部空気量で密度が変わり、フロート配置では端点付近 (ROV 側) は重心の都合で間隔を狭めるのが一般的です。最終的には実水槽での調整を推奨します。
使い方
- テザー仕様を指定プリセット (Fathom Slim / ROV / HD) から選ぶか、長さ・外径・空中重量を手動で入力します。水種 (海水/淡水) も選択。
- フロートを指定使用するフロートの 1 個あたり純浮力 (g) をプリセット選択または手動入力。
- 配置数と間隔を確認必要フロート数と等間隔配置時の間隔 (m) が表示されます。実運用ではこれを目安に微調整してください。
計算式・原理
テザーを円柱とみなし、1 m あたりの排水量(浮力)を空中重量から引いて水中重量を求め、必要なフロート数を算出します。
ρ = 水の密度(海水 1025・淡水 1000 kg/m³)。フロート自重は公称の純浮力に含む前提。水中総重量が負なら浮き気味(おもりが必要)。
結果の読み方
水中総重量が正なら沈み(フロートが必要)、負なら浮き気味(おもりが必要)、ほぼ 0 なら中性近辺です。必要フロート数は水中総重量をフロート 1 個の純浮力で割って切り上げた数、等間隔配置はテザー長をその数で割った間隔の目安です。実際にはフロート自重・ケーブルの撚りや内部空気で密度が変わるため、ROV 側(端点付近)は間隔を詰めるなど、最終調整は実水槽で行ってください。海水は淡水より約 2.5% 浮力が大きく、同じテザーでも淡水ではより沈みやすくなります。
計算例
例:Fathom ROV テザー(外径 7.6 mm・空中 52 g/m)100 m を海水で、純浮力 70 g のフロートで中性化する場合
| 排水量 (1 m あたり) | 1025 × π × (0.0076 ÷ 2)² ≈ 0.0465 kg/m = 46.5 g/m |
|---|---|
| 水中重量 (1 m あたり) | 52 − 46.5 = 5.5 g/m |
| 水中総重量 (100 m) | 5.5 × 100 ÷ 1000 = 0.55 kg → 沈降 |
| 必要フロート数 | 550 g ÷ 70 g = ⌈7.86⌉ = 8 個 |
| 等間隔 配置 | 100 ÷ 8 = 12.5 m 間隔 |
Fathom ROV テザー 100 m を海水で中性浮力にするには、純浮力 70 g のフロートが約 8 個・12.5 m 間隔が目安です。
用語
- 中性浮力
- テザーが水中で沈みも浮きもせず漂う状態。ROV の取り回しと推力負担を最小化する。
- 純浮力 (Net Buoyancy)
- フロート自体の重量を差し引いた、実際に得られる上向きの力(g 換算)。
- 排水量
- テザーが押しのける水の質量。円柱断面 × 長さ × 水の密度で近似する。
- 空中重量 (g/m)
- テザー 1 m あたりの空気中での重量。カタログ値または実測値。
- Fathom Tether
- Blue Robotics の ROV 用テザー。Slim (6.4 mm) / 標準 (7.6 mm) / HD (10 mm) などがある。