ROV やセンサー機材は、空中での重量と、水中で受ける浮力(押しのけた水の重さ)のバランスで、沈む・浮く・中性のいずれかになります。中性浮力に近いほど姿勢が安定し、スラスターの負担と消費電力を抑えられます。
このツールは、空中重量と体積・水種から、浮力・水中見かけ重量・中性浮力に必要なフロート量を算出します。さらに「ROV 全体 中性浮力シミュレーター」で全搭載機器をまとめて入力し、機体全体の浮沈と必要フロート量を設計できます。
単体オブジェクト
ROV 全体 中性浮力シミュレーター
| 機器 | 重量 (g) | 体積 (cm³) | |
|---|---|---|---|
※ フロート自体の質量は 0 と仮定した理論値です。実際には発泡材の比重 (例: 0.32 g/cm³) を考慮して、ここに示した体積の 1.3〜1.5 倍を目安にしてください。
使い方
- 対象の重量と体積を入力空中での重量を g または kg で、体積を cm³ / mL / L / m³ のいずれかで入力します。
- 水種を選ぶ海水 (1025 kg/m³) または淡水 (1000 kg/m³) を選択します。汽水域では海水寄りの値を目安に。
- ROV 全体で中性浮力を確認下のシミュレーターに ROV の全機器を追加すると、総重量 / 浮力 / 見かけ重量 / 追加必要フロート量が一括表示されます。
計算式・原理
アルキメデスの原理に基づき、物体が押しのけた水の質量(排水量)が浮力になります。
ρ = 水の密度(海水 1025・淡水 1000 kg/m³)、V = 体積 (m³)、m = 空中質量 (kg)、g = 9.80665 m/s²。W_app が正で沈降、負で浮上、ほぼ 0 で中性浮力。
結果の読み方
水中見かけ重量がプラス(空中重量 > 浮力)なら沈降、マイナスなら浮上、ほぼ 0 なら中性浮力です。沈む場合に表示される「中性浮力に必要なフロート」は、不足分の浮力を補うのに必要な正味のフロート体積で、フロート自体の重量を 0 と仮定した理論値です。実際の発泡材(EVA など、比重 0.32 前後)はそれ自身に重量があるため、表示体積の 1.3〜1.5 倍を目安に見込んでください。海水(1025 kg/m³)は淡水(1000 kg/m³)より約 2.5% 浮力が大きいため、淡水で中性でも海水ではわずかに浮き気味になります。「ROV 全体 中性浮力シミュレーター」に全機器の重量・体積を入れると、機体全体の浮沈と追加フロート必要量を一括で確認できます。
計算例
例:空中重量 1.0 kg・体積 900 cm³ の機材を海水(1025 kg/m³)で評価した場合(単体オブジェクトの初期値)
| 排水量(浮力・質量換算) | 1025 × 0.0009 = 0.9225 kg(表示は 0.922) |
|---|---|
| 浮力(力) | 0.9225 × 9.80665 ≈ 9.05 N |
| 水中見かけ重量 | 1.000 − 0.9225 = 0.0775 ≈ 0.078 kg → 沈降 |
| 中性浮力に必要なフロート | 0.0775 ÷ 1025 ≈ 0.0000756 m³ = 75.6 cm³ |
わずかに沈むため、約 76 cm³ 以上の正味浮力をもつフロートが必要です。発泡材の自重を見込むと、実際は 100 cm³ 前後を目安にしてください。
用語
- 浮力 (Buoyancy)
- 物体が押しのけた水の重さに等しい上向きの力(アルキメデスの原理)。水の密度 × 排除体積で決まる。
- 排水量
- 物体が押しのけた水の質量。浮力(質量換算)に等しい。
- 水中見かけ重量
- 空中質量から浮力(排水量)を引いた、水中で実際に感じる重さ。正なら沈み、負なら浮く。
- 中性浮力
- 浮力と重量が釣り合い、水中で静止する状態。ROV の操縦性・省電力の理想。
- 比重
- 対象物質の密度と基準(通常は水)の密度の比。発泡フロート材は 0.3 前後で水に浮く。